レースの幕は切って落とされた。
昨年の上位入賞者や強豪選手は当然のように先頭に陣取りスタートしている。後ろに800人以上の大集団を従えて。Photo by:Sayako Ikeda
号砲が鳴り、2、3分経過して列が徐々に動き出した。
ガレた林道に突入するアスファルト区間で少しでも順位を上げておきたい。道いっぱいに広がる選手達を縫うように先へ先へ急いでゆく。しかし、進めど、進めど先頭は見えない。
アスファルト区間からいよいよ本格的な林道に突入した。
まだ大集団の中に居る。さながらラッシュアワーの通勤電車のような混み具合だ。
各選手は走力、走破力もまばらで足をつく者、砂利にハンドルを取られ転倒する者。
こ、これは・・・(大汗
早くこの混雑した大集団の中から脱出しなければと、ハンドルや肩を選手に当てながらも先を急いだ。
30分ほど上りとカオスな集団と格闘していると少しずつ目の前が開けてきた。
ようやく本来の走りができる。写真を撮る余裕もできてきた。
今回はコース変更があっているので、以前のタイムはあまり当てにならない。速いのか?遅いのか?自分の感覚だけが頼りだ。
今までの経験では終盤に脚が終わる感覚があったので抑え目に、慎重に走り距離を伸ばしてゆく。王滝のコース、最奥のダム湖を回ってゆく。折り返し地点だ。
もうこの頃は前にも後ろにも選手が居らず、一人淡々と走っていたのだが、目の前に5,6人の集団を捕らえたのでペースを上げて抜いて行った。
いったい全体、後何人抜けばいいのか・・・
小集団を抜きざま、一人の選手が追走して来たので訊いてみた。
「先頭は後、何人ぐらいでしょうか?」
「20人ぐらい先に居ますよ!」後、20人か・・・総合上位に絡むのは無理かもしれない。
弱気な心が芽生えたが少しでも前に、前にと追走して来た選手と抜きつ抜かれつを繰り返しゴールに向かって二人でハイペースを刻んでいった。
つづく