長崎県壱岐市で開催された、第26回壱岐サイクルロードレースに参加してきました。
この大会は1989年より開催されている伝統ある大会で、一周50kmの壱岐島の公道を使用した本当のロードレースだ。風光明媚な島の道をつないだ独特なコースが魅力の一つになっている。
以下レースレポート
私が参加したのはJCF登録選手のエリート50km。前日の受付時にもらった出走者リストを見ると当然ながら強者ぞろいだった。
8時50分のスタート。
壱岐文化ホール前を港方向へ進む。すぐにトンネルに入るがそこで落車が発生。パレード走になっているが数百人が一斉に下り基調のトンネルになだれこむので危険極まりない。港に掛かる橋を渡り先導車が外れるとパレード走が終了。いよいよレースの始まりだ。突然ペースが上がりだす。
コースプロファイルで分かるようにスタートして直ぐに強烈な上りが始まる。
自分は体が温まりきっていない初めから強度が上がる展開は不得意だ。ロードレースの常、一度先頭集団から切れてしまうともう戻れない。高速のヒルクライムに脚の筋肉が悲鳴を上げ乳酸が溜まりだした。
痛~っ!
ここで諦めたら終わりだ!諦めるな!と自分に言い聞かせずるずると順位を落としながらも集団の後方に何とかぶら下がることができた。
コースは次第に連続した上りから平坦、そして下り基調に変わっていった。命拾いする。
今までのレースの経験から後半身体が完全に温まったらある程度のペースの上げ下げにも対応できると感じていた。前半はとにかく我慢しどころだ。それに先々週のMTBの大会、SDA in王滝の疲れが十分取れてない・・・
とにかく我慢々々と決め込むことにした。
コースは芦辺港周辺のフラットなコースに突入。数名の逃げが発生しているが集団は静観している。本当の駆け引き、レースの始まりは未だこの地点では無い。集団が安定している内にボトルを取り十分な水と補給を流し込んだ。
距離30km、勝本町に入る。国道382を横切った。ここからゴールまでは壱岐島の西側海岸線を南下するアップダウンが多いコースになる。本当の意味でレースが動き出す、レースの始まりだ。
県道231の緩やかだが少し長い上りが始まる。少しギアを掛けてみた。
おっ、いける!
序盤とは違い体が温まり脚の張りが解れているのが確認できた。
よし!
スルスルと先頭に躍り出た。しかしここでもあえてそれ以上踏み込まない。集団に飲み込まれながらもまともにレースが戦えるかもしれないと期待が膨らんだ。湯ノ本温泉へ下る緩やかなカーブに集団で突っ込んだ。外回りだったこともあり少しオーバースピードだ。コーナーの側溝と土手が目の前に飛び込んでくる。
やばい、転倒する!
ハードブレーキで立てた自転車を当て効きさせながら倒しこみギリギリのところで転倒を免れコーナーを抜けることができた。後で、誰かクラッシュする音がした。同じようにオーバースピードで突入したのだろう。油断すれば次は我が身だ。
コースはいよいよ終盤に突入。猿岩の分岐に差し掛かる。短いが勾配が急な上りに集団がバラバラになる。体は軽くなってきた。まだまだ大丈夫。生き残ることができる。
昨年30kmのレースに出ているのでレース展開は予想できた。最終局面のセメント坂で最後の集団振るい落としがかかり、生き残った選手達は2段坂と呼ばれるゴールスプリントまで牽制が始まるはずだ。
心臓の鼓動は激しく、息は上がっているが、自分の体調を冷静に分析する。
集団の先頭に出て千切る余力はあるのか?
最後まで残れる体力、脚はあるのか?
誰をマークする必要があるのか?
正直、今の自分はどれも当てはまらない・・・気がする。
先々週のレースの疲れが・・・弱気な自分が顔を出す。
2段坂に突入。一人の選手が飛び出している。逃げ切ってしまうのか?
できるだけ前へ、一踏みでも前へ。無我夢中でペダルを回し。全力を振り絞る。ゴールまで残り100m、50mとても長く感じた。
目の前が白くなるほどモガキ、何とかゴール。結果は・・・
レース結果:http://www.iki-event.jp/ikicycle2014/el50
普段では味わえないギリギリの駆け引きがレースの魅力の一つでもある。それが苦しくもあり楽しくもある。
速かろうと遅かろうと結果に関係なく、練習を頑張っている者だけレースを本当の意味で心底楽しむことができる。以前の自分を超えること。諦めずに踏み続けることが結果を手繰り寄せてくれる。
また次のレースを心底楽しむために練習を続けようと思う。